『クラウドソーシング』というものをご存じでしょうか?
オンラインサービス上で発注者(仕事を依頼する人)と受注者(仕事を受ける人)をマッチングさせ、業務開始から報酬の支払いまでを管理することのできるサービスです。
有名所は「クラウドワークス(CrowdWorks)」と「ランサーズ(Lancers)」、後は徐々に知名度を挙げてきた「ココナラ(coconala)」あたりでしょうか。
登録者数も年々増えている様で、クラウドワークスに至っては昨年(2016年)登録者数が100万人を突破したとか。これだけ人がいれば当然色んな話が飛び交う訳で、「単価が安すぎてやってられない」とか「依頼者の知識レベルが低すぎて仕事がはじまらない」などなど、内容が色んなブログで語られていますね。基本ネガティブな内容ばかりだと思います。
私も数十件の依頼をこなしましたし、こちらから提案したりスカウトされた回数は数百を超えています。その経験から言うと、他の方が書かれている内容はほぼその通りです。(笑)
※あくまでプログラム系の開発分野に限った話なので、ライティングやイラスト等の文芸関連は分かりません。
色々とメリット、デメリットはありますが、今回は”受注者側”として数年前に登録し、現在も利用を続けている私が感じた内容について私なりに書いていきたいと思います。
クラウドソーシングは稼げるのか?
結論から言うと「稼げます」。
ただし在籍していれば安定して一定額の収入が入る会社と違い、依頼を受けた分だけその報酬が手に入る日雇いバイトの様なものです。
よく「クラウドソーシングってどの位稼げるの?」と言う声を聞きますが、それは本人の努力次第としか言えないんです。
後は「何のスキルを持っているのか」という所ですね。
「努力次第?じゃあひたすら頑張れば年収1千万も夢じゃないの!?やったー!!」
・・・って登録した時は誰もが思うんです。
こういうサービスの広告って実際そんなのばっかりですもんね。(週2~3日働いて月50万!とか)
しかし!掲載されている依頼を見れば、そんな夢は一瞬で打ち砕かれます。
なぜなら安すぎるからです。
依頼の内容のほとんどは時給換算ではあまりに低賃金となるため、その時間を使って近所のコンビニでアルバイトでもした方がマシだろうなーと思います。クラウドソーシングの収入のみで生活していくのは99%無理でしょう。
なぜそれほど稼げないのか?この状況になっている原因は主に2つ存在します。
一つは「依頼者が相場を知らないこと」です。依頼者の全てが社会に出た経験がある訳でも無いでしょうし、会社に勤務していたとしても営業やらリーダークラスの人間で無い限りは発注額なんて知る機会も無いでしょう。
例え知識があったとしてもわざわざ相場価格で依頼を出す必要も無いですけどね・・・受ける側も分かっていないケースがありますし、あくまで「副業」というスタンスであれば多少安くても目を瞑るものです。
しかし「相場が分かりませんので相談して決めたいと思います」という文言を出すのだけはやめてほしい。
これを見るだけで私はやる気を無くすんですが、皆さんはどうでしょうか。
少なくとも私はこの文言がある場合、こちらが提示した額で受注できたことは一度もありません。大体返信が無いままスルーされて終わるので、提案の文章を書くだけ時間の無駄でした。(プログラム開発系で1万程度の提示なので、そこまで高いはずは無いです)
少しでも安くしたいのは分かりますが、備え付けの掲示板で相談する。もしくは終了済みの過去案件を見る位はしてほしいと思いました。依頼者にはもう少し「自分が受ける立場だったら」という気持ちで発注内容を見直して頂きたいですね。
この件は他の方も書いている通り、依頼を出す前にチュートリアルとして相場感を理解させるステップを設けるべきだと思います。
さて、もう一つの原因ですが、これは「受注者が手当たり次第に依頼を受けてしまうこと」です。
クラウドワークスで多くの案件を獲得するためには何が必要だと思いますか?
それは「スキル」と「実績」です。普通の会社でもそうですよね。
依頼者にしてみれば登録したばかりの『自称達人』よりも、100の良い評価を得ている『普通の人』を選ぼうとするでしょう。結果、新規の人程案件を取り辛くなるという環境が生まれます。
そのため、少しでも案件をこなして評価を得ようと、どんなに安い依頼でも受けしまうことがこの全体的な依頼料の低下を起こしている二つ目の原因です。
昨年クラウドワークスが公開したデータによると、2015年末時点で登録者数79.5万人を突破。その中で月収20万円を超える人数は111人とのこと。ここは某ブログの方が指摘されていましたが、直接取引でサービスを介していないケースを想定するともっと(数倍程度に)増えるでしょうね。
「副業」が当たり前になっている昨今、自宅にいながら少しでも収入を増やすために、まだまだクラウドワーカーは増えてくると思われます。新規登録した人は現状の相場を見て「あぁこういうものなんだ」と思いますよね。
受注者側もその環境に慣れてしまい、相場より遙かに下の価格でも受けてしまう。
⇒依頼者はもっと安く依頼したいと考える。
⇒ 新規受注者は評価稼ぎのためにどんなに安い依頼でも受けてしまう
⇒ 全体的に相場が低下して、その環境に慣れてしまう
⇒ (以下無限ループ)
という事が起こります。
まぁ「1日5時間×1週間掛かる作業を5千円でやって下さい!」なんて言われても評価のためとはいえ誰もやりたくはないですから、自然と相場の下げ止まりは訪れると思いますが・・・。
それにこの様な状況を放っておいた結果が自社(クラウドワークス)の赤字ですからね。何らかの対策はしてくれるんじゃないでしょうか。別に期待はしていませんが。
クラウドソーシングをやるメリット
結局受注側でクラウドソーシングをやるメリットはあるんだろうか?と考えた時に、私ははっきりと「ある」と答えられます。
まず、ほとんどのワーカーの方は以下の様なサービス利用をされていると思います。
- 案件に提案(応募)する
- 案件を受けることが決まったので作業をする
- 納品する
- 検収が終わって報酬を得る
- 次の案件を探す
至って普通の流れですね。いわゆる正攻法です。(やっとタイトル回収(笑))
私も最初はただひたすらこの流れを繰り返すだけでしたが、これでは一つの案件に対して、提示された報酬額分の価値しかありません。
ですがそれでは非常にもったいないんです。
そこに別の価値を見いだすことが、クラウドソーシングで仕事をすることの最大のメリットだと私は考えています。
※わざわざ「正攻法」と書きましたが、別にシステム側の不具合を突いて報酬を上乗せするという意味ではありません(笑)。
それでは別の価値とはなんなのか。次回はその内容を説明していきたいと思います。
⇒クラウドソーシングは稼げるのか?- 視点を変えて稼ぐこと –