先日、出品支援ツールにラクマ向けの機能も取り入れようと思い既存の有料ツールを調べていた所、気になる機能が・・・
その名も「IP切替機能」。
えぇーなんだこれ・・・
最初言葉だけ見た時は「まさか無料プロキシサイトから一覧取得して切り替えてるんじゃないだろうな・・・」と疑いましたが、機能の解説を見てビックリ!
「こ、こんな方法があったのか!」というまさに目から鱗な内容で、思わずテンション上がってしまいました。機能の有効性はさておき、手法は非常に興味深いものだったので解説も踏まえて紹介してみたいと思います。
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IPアドレスとは
定番ですが、まず「IPアドレス」とは何かという所を知っておかなければいけません。
といっても詳しい解説は他サイトさんにお任せするので触りとして一文だけ。
IPアドレスとは、パソコンやスマートフォンなどのネットワーク機器を識別するために割り当てられている12桁の番号で、インターネット上においては住所の役割をもっています。
IP切り替えの必要性とは?
ではIP切り替え機能に話を戻します。
そもそもなぜこの「IP切り替え」という機能が必要なのかについてですが、これは以前メルカリが行った業者排除の動きが発端となります。
以前流行った「サーバ型ツール」は、何人もの人が同じIPアドレスでアクセスする事になってしまったために利用者が一斉にアカウント停止となり、そのまま廃れていってしまいました。
詳細については過去記事で触れていますのでそちらをご覧下さい。
さて、ではサーバ型では無く俗にいう『インストール型』だと安心なのか?と言うとそういう訳でもありません。複数アカウント所持者については、IP問題は残ったままです。
なぜなら作業環境が同じPCなら使っている通信回線も当然同じはずですので、その状態で複数のアカウントを使用すれば全てのアカウントで接続元IPアドレスが同じになってしまいますよね。
2~3アカウント程度なら「家族での使用かな?」と言う疑い程度でセーフだと思いますが、10個や20個のアカウントを使っていた場合はさすがに「複数アカウント所持」という判定を受けてもおかしくはありません。
という事で、複数アカウントである事を隠すためにもアカウントごとにアクセス元(IPアドレス)を変える必要があるのです。
IPアドレスはどうやって切り替えれば良い?
ではIPアドレスを切り替えるためにはどうすれば良いか。
方法は幾つかありますので、順に解説していきます。
■プロキシサーバを経由する
冒頭でも書きましたが、私が「IP切り替え」と聞いて最初に思い浮かんだのがこれです。
「プロキシ」とは日本語で「代理」という意味になります。
まずは一般的な環境で、自宅PCからとあるサイトにアクセスする場合を見てみましょう。通常であれば以下の様にユーザー(利用者)とサイトが直接やり取りを行います。
続いてプロキシサーバを経由した場合のやり取りがこちらです。
「ユーザーはプロキシサーバと」、「サイトはプロキシサーバと」それぞれやり取りを行います。つまり間に「プロキシサーバ」を挟む事で、サイトから見たアクセス元をプロキシサーバに偽装する事が可能となります。
当然IPアドレスもユーザーのものではなく、プロキシサーバのIPでアクセスされています。
問題は「このプロキシサーバをどうやって用意すれば良いのか」と言う所になりますが、世の中にはプロキシサーバを”無料”で公開している所が多数存在しますので、それを利用するというのも手です。「無料プロキシ」で検索すればリストが公開されている適当なサイトがヒットすると思います。
で す が、
こういったフリープロキシは極力おすすめしません。
ただサイトを閲覧するだけのために一時的に利用するなら大して問題は無いと思いますが、ログイン情報や住所氏名などの個人情報を取り扱う場合は決して使用しない事。
なぜならそのプロキシサーバの管理者からは、あなたの送受信している内容が全て見えているからです。
知らず知らずの内にあなたのアカウントや登録情報が利用される可能性もありますので、フリープロキシ使用中に会員制のサイトを利用することは絶対にやめましょう。
月額利用料を支払う事でプロキシサービスを提供している所もありますので、使うなら有料で信頼できるサービスを探すのが良いです。
■ルータを再起動する
ルータを再起動する事でもIPアドレスは変わります。
ところでIP切替の件で調べている際に幾つかのブログでこんな記述を目にしました。
「ルータ再起動でグローバルIPは変わらない!変わるのはプライベートIPなので関係無し!」
※文言は多少変えています。
これについては100%間違いだとは言えないのですが、あっているとも言えません。しかし、大抵の一般家庭環境であればグローバルIPは「変わる」ので、そこもあわせて解説していきます。
グローバルIPとプライベートIPについて
この内容を理解するには、まず
■グローバルIP
■プライベートIP
という二つのIPアドレスの存在を理解する必要があります。
以下の図は、ルータを経由してインターネットを利用している場合の、各端末のIP割り当て例です。
※オレンジの楕円が家の中を表しています。
※本来はルータとインターネットの間にモデムorONUが存在しますが、今回は無視。
上の図で赤色で記載されている「10.10.~」のアドレスがグロ-バルIPアドレス。
緑色で記載されている「192.168~」のアドレスがプライベートIPアドレスです。
ルータは外部との中継を行う役割を担っているので、内用と外用の2種類のIPが存在する形となります。仮にルータを使用しない場合はPCを直接接続する形となると思いますが、その場合PCの方にグローバルIPアドレスが設定されます。
さて、この状況でルータの再起動を行うとどうなるか?
まず現在のPCのIPアドレスは「192.168.1.3」となっていますが、この番号は・・・
変わるかもしれませんし、変わらないかもしれません。
別にふざけている訳では無いですよ!これは「設定」と「タイミング」次第なので一概には言えないんです。順に説明していきます。
まず「設定」とはどういう意味か。
IPアドレスの割り当てを行う際、常に同じIPアドレスが割り当てられる様にするか(固定IP)、空いているIPアドレスを順次割り当てる様にするか(動的IP)という設定を行う事が出来るのですが、固定IPにしていれば当然毎回同じIPアドレスが割り当てられます。
つまり固定IPにしてればルータを再起動した所でIPアドレスは変わらないという事ですね。
では「タイミング」とは。
上で書いた通り、動的IPであれば大体の場合は接続した順に使用可能なアドレスが割り当てられます。
上の図の例で言うとタブレットには「192.168.1.2」、PCには「192.168.1.3」が割り当てられています。これはタブレットの方が接続が早かったため、タブレットに若い方の番号が振られたという事です。PCの方が接続が早かった場合は、PCに「192.168.1.2」が割り当てられていたと思います。
そして既に「192.168.1.2」が使用中だった場合は次に「192.168.1.3」が割り振られるため、接続したタイミングによってはIPアドレスが前回と同じ(つまり変わらないという状態)になる事もあります。
これが「IPは変わるかもしれないし、変わらないかもしれない」の理由です。
では「グローバルIP」の場合はどうでしょうか。
この辺の仕組みは、先ほど説明した家庭内の端末へのプライベートIPの割り振られ方と仕組みは一緒です。つまり、固定IPで契約をしていればルータを再起動した所でIPは変わりません。
ですが、特殊なケースを除いて企業以外で固定IP契約を行っている家庭はほぼ無いはずです。そのため、通常は全て動的IPにより割り当てが行われていると考えてもらって良いです。
じゃあ「接続したタイミングで空いているIPアドレスが自動的に割り振られる」という事が分かればどうなるかはもう分かりますね。
そう、ルータの再起動でグローバルIPアドレスは変わるんです。
ただし、前回自分が使っていたIPアドレスしか空きが無ければ同じIPアドレスが割り振られますし、切断後一定時間はIPアドレスを確保したままにしている場合もある様なので、切断⇒即再接続を行った場合はIPアドレスが変わらない場合もあります。この辺は契約しているプロバイダによって異なるので、一概には言えない様です。
「ルータ再起動してもグローバルIPアドレス変わんねーから!」
という意見はそういったケースでの発言だと思われます。または固定IPか、常に特定のプロキシを使っていて、使っている事を忘れているか等。
■スマホを利用する
これが有料の自動出品ツールに搭載されていた機能です。記事の冒頭で書いたやつですね。
特に意識した事は無いでしょうが、実は携帯電話もインターネットに接続する場合はIPアドレスが割り振られています。このIPアドレスは電源を入れ直したり、「機内モード」をON⇒OFFにする事でも変わります。※4G接続時の話なので、Wifiに繋いでいる場合は接続先によって異なります。
PCではルータを物理的に再起動する等の手間が必要になりますが、こちらは機内モードのON/OFFのみという手軽さを利用した方法という事ですね。
この仕組みを利用して出品ごとに機内モードのON/OFFを行う事で、IPアドレスを切り替えて同一人物では無い様に見せる事が可能になる様です。
「ラクフリ」というツールで実装されており、実際の切替シーンの動画も挙がっていたので興味がある方は見てみてください。
ちなみにこれは上記ツールあっての機能ですので、単純にPCとスマホを接続しても意味は無いので注意して下さい。スマホと接続したからと言ってPCで4G回線を使える訳ではありません。※USBテザリングを使えば別
ただ一点気になる所としては・・・
■機内モードのON/OFFで、確実にIPアドレスが切り替わる保証は無い
という所でしょうか。
PCの事例と同じく一定時間は同じIPアドレスが確保されている可能性もありますし、そもそも携帯端末へのIP採番の仕組みが不明です。基地局エリア内への端末の出入りによって採番が行われるのであれば、人の動きがあまり無い田舎の方だとIPが変わるまで時間が掛かる可能性もある訳で・・・
ネットワーク接続時にIPアドレスのチェックも行い、IPアドレスが前回と同じであれば変わるまで繰り返す様な仕組みであればより安心かもですね。
まとめ
結局「IP切替機能」は最後に少し紹介しただけで、IPアドレスの変更方法についての話がほとんどでしたね。
そもそも「ルータ再起動でグローバルIPアドレスは変わらない」って書いてるブログの誤りを指摘するために書き始めた内容なので、そっちの方面で書きたい事は大体書けた気はする。本当ならその記事にコメントして指摘するべきかと思ったけどあえてしなかった。
そう、あえてね!(深い意味は無い)
後、自宅で運用する事前提で書いていたのであえて書かなかったけど、施設とかで提供されている「公衆無線LAN」を使えばPCの機内モードON/OFFでも同じ事ができるんじゃないだろうか。大体はプライベートIPが割り当てられると思いますが、場所によってはグローバルIPがそのまま付与されるとか。
・・・まぁわざわざ出向いて出品作業するか?って話にはなるんですが、方法の一つとしてはアリだなーと思う。
最後に一つ思ったのは、技術系の話は前提として知っておくべき話が多すぎて話が逸れやすいと思った事。正直書きたい事や説明するべき内容をだいぶ省略してしまったので、文章の下手さも相まって話が全体的に分かり難くなったなーと言う感じがする。
という訳でIP切替の話については以上!
自分の知識を深める為にも、こういった話はまた書いていこうと思う。